先日、初級クラスで、raise awareness という表現が出てきました。

「カタカナで、『アウェアネス』ってよく聞くことがある。これまで、なんとなくわかったようなわからないような気がしていたけれど、これでスッキリしました。」と、生徒さん。

英語をそのままカタカナにして使われている言葉は、アクセントが妙な感じになりますし、何度かその語に出会わないと正しく意味が理解できていないということはよくありますよね。

raise awareness とは、ある社会的な問題や課題について人々の認識や関心を高めることを言います。この表現が使われる文脈では、それらの問題や課題について、その重要性を理解して何か行動を起こすことを促すことが期待されています。

今期(4月~9月)に取り上げたニュースでは、3つのニュースにこの表現が使われていましたのでご紹介します。

raise general awareness of sports for the disabled (初級教材より)

(障がい者競技への社会的認識を高める)

車いすテニスプレーヤーの国枝慎吾さんの引退を伝えるニュースで、国枝さんが引退後にやりたいことを説明しています。国枝さんは、現役中も、健常者と障がい者の垣根のないスポーツの魅力をみなさんに知ってもらい思いをもってプレーをしていたそうです。引退後も、障がい者競技への社会的認識を高める活動を続けていくとおっしゃっています。

raise awareness of the importance of milk (初級教材より)

(牛乳の重要性への意識を高める)

厳しい経営環境にある酪農家支援を表明するため、千葉県知事が、「世界牛乳の日」に酪農家と面会をしたというニュースでした。この「世界牛乳の日」は、牛乳の重要性への意識を高めるため、国連食糧農業機関によって定められたそうです。

 raise awareness of basic rules and manners on the road (上級教材より)

(道路上での基本的な規則やマナーについての意識を高める)

今年の4月より、自転車利用者はヘルメットの着用が努力義務化された、というニュースでした。専門家によると、この法改正は、人々が、道路上での基本的な規則やマナーについての意識を高める良い機会になるとのことです。

(写真は、ちょうどこのレッスンを準備をしていた頃、改正道交法のraise awarenessのために駅で呼びかけをされていた警察官の方にお願いして撮らせていただきました。)

さて、今日、NHKテレビで、『1.5℃の約束』(今すぐ動こう、気温上昇を止めるために。)というプログラムが放送されていました。NHKのスタジオにNHKと民放5社のキャスターが集結し、メディアの垣根を越えて気候変動について考えよう、というものです。2020年に開催された東京フォーラム2020では、前国連気候変動枠組条約事務局長が、「人類が地球の未来に影響力を行使できるのは、あと10年しかない」と警鐘を鳴らしています。私も、地球温暖化に関しては、以前より、あらゆるメディアが(TV、新聞、ラジオ、Web等)が一体となり、一斉に大々的なキャンペーンを行わないと、なかなか全国民にまでその危機感が伝わらないのではないかと思っていましたので、興味深く番組を見ました。

教室で取り扱うニュースでも、気候変動はよく取り上げられる話題です。レッスンでは、いつも、個人での取り組みや職場での取り組みを尋ねます。職場は別として、個人としての取り組みは、私も含めてどこか他人事のように思っている人が多いように感じます。

さて、番組の中では、地球温暖化に取り組む若者の本音が紹介されていました。若者の一人が、次のような趣旨の発言していたのが印象的でした。

「(温暖化問題は)もう、認知ということではなくて、(いまは既に)次のフェーズに移っている。認知の先にどういう行動を起こしていくか、もっと人々が具体的にわかるような報道がされるべき。」

確かに。温暖化については、もう、raise awareness といっている場合ではありませんね。